02-売上力

高い技術と低い腰!専門製品の営業ノウハウ講座

こだわりの技術で作られた製品を法人向け(BtoB)に販売するとき、一般的な商材と比べて営業の果たす役割が大きいという特徴があります。顧客企業での使い手と買い手にしっかり価値を説明する必要があるため、カタログを置いて通信販売サイトに載せれば売れるというわけには行きません。

特に製品の使い手に価値を説明する際には、技術面の知識も備えて商談に臨む必要があります。さらに、販売した後にも保守などのアフターサービスの窓口を務めることになることも多く、顧客との関係を良好に維持することも重要です。

企業にとって、技術知識もあって商談ができ、顧客と仲良くなれる営業は非常に貴重な資産です。このような「技術営業」ともいうべき人材はどこにでもいる人材ではありませんし、育成にも時間が掛かります。そのため、業務に対して常に技術営業は不足気味になります。売上を増やしていくためには、効率的に顧客対応してもらえるようなマネジメントが欠かせません。

技術営業が訪問すべき企業を見つけるABC分析

顧客の中には購入金額の多いお得意様もいれば、数年に一度発注が来るような方もいるでしょう。売上の分布には濃淡が必ずあります。

そのため、技術営業は全ての顧客を均等に対応するのではなく、売上が最大化するようにメリハリをつけて対応することが重要です。

そこで、エクセルなど表計算ソフトで簡単に実施できる分類法を紹介します。

1)顧客を売上高の高い順に並べる。

2)順番に累積売上高を計算する

3)累積売上高の8割までを占める企業をAランク、9割までを占める企業をBランク、残りをCランクと定める。

これをパレート図のようなグラフにすると、こうなります。

このようにして重点顧客をあぶり出す分類方法をABC分析と呼びます。もしAランクの顧客が多い場合は、累積売上高の60%〜66%までを占める顧客をA+として切り分けても良いでしょう。

このようにして自社の売上に貢献する顧客を洗い出し、技術営業はAランク企業から順に優先して対応していくのです。

ただ、これだけでは既に得意客となっている企業だけに注力する形となってしまい、新規の顧客獲得を頑張る形になっていません。今期の売上をどうするか?という短期的な観点であれば問題ないですが、来期〜5年後までにどうするかという中長期の観点では心もとないところです。顧客企業の中には予算が潤沢なはずなのに、自社の製品が販売できていないところもあるはずです。そういった企業では競合他社が入っていて、自社が顧客を取り込めていないと考えられます。

そこで、企業の潜在購買力を売上高・時価総額・研究開発費などの金額から見積もって分類するのです。こちらのような業績ランキングを参考にしながら、いくら以上ならAランク、という形で分類してみましょう。

自社との取引実績(製品売上高)からつけたランクと、企業の潜在購買力からつけたランクを使って、このような表を作ります。

既に自社との取引額が大きな得意先は、今期の売上の主力となる部分です。また、顧客への価値教育も既になされているため、売上を立てやすいという特徴があります。担当窓口の交代の際に他社に切り替えられないように、人事異動などの情報はしっかり仕入れて対応していくことが大切です。また、取引が長いと「自社の技術のことなら知っているだろう」という思い込みが生じがちです。価値教育の油断をしないようにしましょう。

次に、企業の潜在購買力が高いにもかかわらず、自社との取引額が小さな企業を選びます。これらの企業は今季の売上への貢献は小さいものの、未来の売上が見込める企業となります。現時点で取引額Bランクの企業は中期(来期〜3年後)にかけてAランクに持っていくように、Cランクの企業は長期(5年後)を目安にBランクに持っていくように価値教育という種まきを行っていくのです。

技術営業としては、売上を増やすためになるべく多くの顧客にアプローチしたいと思うかもしれません。しかし、アプローチ先を増やせばその分だけ1社に当てる時間が短くなってしまいます。表の中にあるマス目から1社ずつを選ぶまでに留めておきましょう。

これらの重点的に営業をかける企業を「ターゲット企業」と呼びます。ターゲット企業は競合他社も多く入り込んでいて、顧客の要求も厳しいことも多いかもしれません。しかし、そこにこそ商機があって行くべき企業です。

このように分類して、技術営業が行くべき企業を見えるようにすることが、効率よく売上を立てる第1歩です。

技術営業が高速PDCAを回して売上を最大化させるコツ

PDCAとは下記のサイクルを回していくことを言います。

Plan:やるべきこと(計画)を決める

Do:実行する

Check:やったことを振り返る

Action:振り返りを受けて、方針を修正する

Actionの後に新たなPlanを立てることで、次の実行に移って行きます。これが順繰りに回って行くことを「PDCAサイクルを回す」と表現します。

しかしながら、技術営業のPDCAサイクルが回りながら、現場で成果を出すことは稀であることが実態です。

技術営業の中には「PDPDPDPD・・・」と、実行した結果を参考にするわけでもなく、なんとなく計画を立てて実行することもあります。

また、計画を立てる余裕すらない場合には「PDDDDDDD・・・」と当初に立てた計画や目標をそのまま維持して、あとは実行するだけという場合もあります。

なぜこのようにCheckが行われないのでしょうか?

これは、Checkの大変さを認識しないまま、Planをたくさん立てているからです。技術営業に対して、計画を立てさせすぎているのです。

実行する前の計画段階では、まだ営業活動も始まっていませんから、現場での情報も多くありません。ある程度余裕を持って計画を立てることができるでしょう。

しかし、いざ実行に移してみると、事前には想定していなかった情報が山ほど集まってきます。

客先の会議が延長になって売上がたつタイミングが遅れたり、受注済みの案件で皇帝トラブルによる納期遅れが発生したり、肝心の顧客キーパーソンの体色が決まったり・・・と様々なことが発生するものです。

つまり、Doが終わった時点では、Planの段階と比べて、圧倒的に情報量が多くなっていています。技術営業がパンクしてしまって、情報処理が追いつかなくなってしまうのです。

当然、現場で実行して得た情報が膨大になると、当初に立てた計画と照らし合わせるCheck段階での作業も膨大になってしまいます。

そうなると、情報がオーバーフローしてしまった技術営業は、当初の計画を修正するActionを実施することができなくなります。結果として、Actionがなされないまま、このような残念なPlanが続いてしまうのです。

技術営業が高速PDCAを回して売上最大化を図るコツ。それは「Planを立てるのをターゲット顧客企業に絞って設定する」ことです。Checkができるような量まで、「これ、少な過ぎじゃないか」と心配になるくらいPlanを一度絞ってみてください。

売上を増やすためには、あのお客様にも、このお客様にも、チラシも、パンフレットも、カタログも、提案書も・・・と、やりたいことを全部目標に入れていては、途中でCheckが出来なくなって、PDCAサイクルが回りません。

最初は平凡な計画からスタートしたとしても実行を通じてCheckとActionを繰り返し、計画を修正していくことで素晴らしい目標と成果に変わって行きます。ぜひ重点志向で考えてみてください。

技術営業が獲得すべき「未来の注文書」とは?

技術営業は、成約して注文書を取ってくることを目標として、日々の営業活動を精力的にこなしています。しかし、実は今日の注文書よりも大切なことがあります。

それが「未来の注文書」です。

法人向けの取引において、今日の注文書が取れたのは、過去の努力の積み重ねによるものです。その場の勢いだけで決める衝動買いはほとんど期待できません。過去の努力は昨年の自分かもしれませんし、以前に担当していた別の技術営業の種まきの成果かもしれません。

技術営業の仕事は常に継続していると考え、未来の注文書を取るための努力が欠かせません。こういった取り組みをやっておかずに収穫ばかりに専念していると、やがて収穫するものがなくなって売上が減少していくことでしょう。

そこで、顧客から次の仕事に関わる3つの質問の答えをもらってくるようにしましょう。

1)今、何に困っていますか?

「顧客が現場で解決したいと思っている問題」を聞き出すことができれば、自社の製品改良や新製品開発のテーマに繋がります。これは技術営業が行う一番オーソドックスなヒアリング項目ですが、注意すべき点があります。

「なぜその問題を解決したいのか?」まで遡って意見を聞き出しておくのです。

その理由の1つは、解決しても自社の売上にならないし、顧客企業にとっても儲からないという「一見問題のようにも見える、興味本位の困りごと」を取り除くためです。現場の技術者やユーザーにヒアリングすると「これができずに困っている」というテーマを言われることもあります。しかし、それが技術者の純粋な興味から現れることもあるのです。

技術営業が「この部分にメーターをつけてデータを計測できるようにしたい」という要望を顧客から受けたときのことを考えましょう。「このメーターをつけた製品を開発すれば、顧客は買ってくれるだろう」と思って新製品開発を促したとします。しかし、そのメーターで測るデータは特に顧客社内で活用されるわけでもなく、担当者の興味に過ぎなかったというケースもあります。何でも要望を聞けば良いというものでもないのです。

解決することでビジネス面にプラスがあるか、なぜそれを面白いと感じるか、そこまで確認しておきましょう。

もう1つの理由は「真の問題を発見するため」です。

技術営業がしっかりヒアリングし、目の前の問題を解決したとしても、真の問題が奥に潜んでいたとしたら、根本的な解決になっていません。その場しのぎの対応になってしまい、再発する可能性も高いです。すると、顧客の側から見ると「相談しても問題を解決してもらえない取引先」というふうに映ってしまいます。言われたことをそのまま実行するのではなく、真の問題が潜んでいるはずという観点を持って「なぜそれが問題なのですか?」「どうしてその問題が発生すると思いますか?」としっかり確認しておくべきです。

2)今、手間がかかっていることは何ですか?

従業員による手作業や、処理時間が掛かっている工程とはコストの掛かっている工程と言えます。現時点では標準化されていて淡々と作業が進んでいるとしても、本来は削減できるポイントなはずです。

この課題を達成してコスト削減に貢献できれば、顧客にとってもたいへんありがたいことでしょう。まさに将来のビジネスの提案に直結する情報ですから、聞き流すことなくしっかりメモしておきましょう。

3)将来どのようにしたいですか?

これから顧客企業がどのようにしていくかの情報です。

どの製品を増産するのか、改良するのか。海外生産に切り替えるのか、調達をどうするのか。事前に情報を把握しておくことで、環境の変化に備えることができるようになります。特に新製品開発や新規事業の立ち上げなど、顧客企業の中で変革が行われる時、取引先企業も改めて選び直されることがあります。

これら3つの質問に対する答えは、未来の仕事を獲得するために必要な種まきのネタになるものです。これを「未来の注文書」と呼びます。

ただし、顧客が言語化したものを、そのまま鵜呑みにしていると痛い目にあいます。なぜそうしたいのか? という質問を重ねて、真に解決すべき問題まで掘り返すように質問していきましょう。それが未来の売上に繋がるヒントとなります。

まとめ

  • 売上を最大化するためには、顧客企業を販売高や企業規模で分類して重点顧客を定め、メリハリをつけた手厚い営業対応を取る。
  • 法人営業のPDCAを回す時には、重点顧客に絞ってPlanを設定する。
  • 将来の受注に影響しそうな「困っている問題」「手間がかかっている工程」「将来計画」の情報を仕入れておく。

 

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