01-製品技術伝達力

売れる広告の必須コンテンツをあぶり出す、FABE分析講座

機械部品や素材といった新製品や新しい技術サービスの販促広告を作成して、自社製品が売れるようにアピールをするでしょう。せっかく広告準備に高いお金を払ったのですから、多くの方に関心を持って頂き、採用いただきたいものです。

しかし、自社製品の良さをしっかり真面目に伝えようとする広告になればなるほど、顧客の心に刺さらない広告が出来上がってしまうのです!担当者は気合を入れて準備をするのですが・・・真面目な技術者が誠実に広告を作ると、売れない広告が出来るという思わぬ罠があるのです。


あなたがスーパーマーケットの前を通りかかった時、野菜や冷凍食品の店頭チラシが見えたら「結構お得だな」「買って帰ろうかな」と、すぐに内容が理解できるでしょう。メーカーやブランド、産地、値段などをさらっと見れば、買う・買わないの判断がつくはずです。

しかし、機械部品や受託加工といった生産財や技術サービスはそのようにはいきません。広告を見て存在を知ったとしても「その製品はそもそも何をするものか」を知るところから始まるのです。顧客が買うか買わないかの判断に至るまでには長く遠い道のりが待っています。売れるまでには乗り越えなくてはならないハードルが沢山待ち構えています。

当然、顧客には広告で取り上げている製品を買って欲しいと思っているのですから、少しでも多くの方に売れるように製品の良さを必死にチラシに盛り込んでいきます。結果として、こんな感じのチラシを作りがちです。

  • 製品名を覚えて欲しいから、写真と名前は大きく伝える!
  • 機能も具体的に盛り込んだ!
  • 業界で難しいと言われている作業も簡単に手早くできることをアピール!
  • 技術的な詳細は開示してはいけないので、それとなく匂わせた
  • プロダクトアウトではなく、マーケットインの思想を持って製品開発したことをアピール!
  • 問い合わせしやすいように社名を大きく表示!

広告を一目見た時から、「この製品知ってください!」「僕のこと、知ってください!」と言う、売れることを夢見た一方的な情念が飛び込んでくるようです。新製品に真摯に向き合い、製品の良さを知って欲しいと真面目に考えている技術者が広告を作ると、機能ばかりのようになってしまいます!

確かに広告で製品のことを知ってもらわないといけないのですが、その前に突破しなくてはならない壁があります。

何といっても、顧客は初見の製品・サービスに対しては関心を持っていないのです!

そんな心理状態の顧客に対して、どんなにわかりやすく機能を説明する広告を作っても、顧客に売れることはありません。まず、相手が広告を読みたくなるような気持ちにするステップが必要です。製品・サービスの紹介をする前に、広告を見た人の気持ちを温めて「製品のことをもっと知りたい」と思ってもらわないと売れるようにはならないのです。

関心を引くためには「顧客にとっての価値」をストレートに伝えて関心を引き寄せなくてはなりません。相手にとって具体的にどのようなメリットがあるか、どのように便利になるかを明らかにして訴えることが必要なのです。

広告の中で「自分の仕事が楽になるのか!どんな製品だ?」「うちと似た会社でコストが3割下がったのか。どんな仕組みだろう?」と興味を持たせることによって初めて詳しい機能を知りたくなるのです。

とはいえ、いきなり「顧客にとっての価値ってなんだろう?」と漠然と考えても、なかなか売れる広告アイディアが浮かびません。手元にあるのは自分たちが提供している製品・サービスのスペックや仕様ですから、それを材料にして考える必要があるのです。

自分だけで考えていると「機能が優れていると、顧客は嬉しいはず」という思い込みが生じがちですし、「売れるにはもっとスペックが高くないといけないのでは?」と過剰品質に暴走してしまうこともあります。

そこで、あなたが持っている情報から、顧客にとっての価値を導き出すツールがFABE分析(ファービー分析)です。

ステップを踏んで考えて行きましょう。


製品が持っている情報を

・Feature(フィーチャー:製品の特徴)

・Advantage(アドバンテージ:特徴から生まれる利点)

・Benefit(ベネフィット:顧客が感じる便利さ)

・Evidence(エビデンス:証拠となる裏付けデータ)

に分類する方法です。

裏付けデータは他3つの要素の中に含まれていると考えて、FAB分析(ファブ分析)と呼ぶこともあります。

この中で売れる広告のために最も大切なのは顧客が感じる便利さ(ベネフィット)ですね。

しかし、製品とにらめっこしていてもすぐには思いつかないので、段階を追って情報を整理していくのです。Evidence(エビデンス:証拠となる裏付けデータ)は説得力を持たせるためのデータですので、言語情報はF・A・Bの3段階で整理して行きます。

こちらで紹介した100万円の架空の電動歯ブラシの売れる広告を考えるため、FABE分析を行ってみましょう。

この電動歯ブラシの機能はこのようになっています。

  • ビッグデータと人工知能を活用した、最新歯磨きプログラム実装
  • 過酸化水素と同レベルの酸化能力をもつブラシ素材採用
  • ステンレス&カーボンファイバーの頑強な構成

ここに挙げられている要素は、この製品の特徴(F)です。

この特徴(F)を広告にゴリゴリ載せても、売れる広告にはなりません。

ビッグデータや人工知能といったキーワードを見て、真っ先に購入を決めるマニアな層は飛びつくかもしれませんが、この情報だけを見て売れるとは思えません。まだまだ掘り下げが必要です。

製品の特徴(F)からどのような優れた点が生まれるかを考えると、「その人にとって最適な歯磨き方法を実現する」になります。これが利点(A)になります。

特徴(F)に利点(A)を加えた広告を考えると「世界中の歯磨き・歯科医のデータ、お客様の歯並び・骨格・食生活のデータを全て考慮して、最適な歯磨きプログラムをAIで作成し、使用する1人1人に合わせた歯磨き体験を提供します」という感じでしょうか?
利点(A)を加えたことで、だいぶ広告に使えそうに思えてきました。

少なくとも特徴(F)を並べた広告よりは売れる感じに近づいてきていますが、まだここまでは提供者目線で考えた情報になっています。ここまで来ると、あと一息です。


さらにこの製品の利点(A)を顧客の立場から見たらどうなるかを考えたのが、顧客が感じる便利さ(B)になります。

「この電動歯ブラシを使えば、あなたはこれからの人生で100%虫歯に悩まされることは無くなります。」と言えば、だいぶ売れる広告メッセージになったでしょう。機能や利点を伝えるだけの広告と比べて、顧客の関心を引きつけるような言葉になっていますね。

根本的に、人間は他人事には興味を示しません。

作った人である企業の立場に立って、広告の中で説明しても、顧客は多少の興味を示すことはあるかもしれませんが、まだ他人事です。「我が社の製品はこんな特徴(F)があります!こんな利点(A)を持っています!」と連呼しても売れる広告にはならないのです。

顧客の目から見た時に、特徴(F)や利点(A)といった情報は他人事であり、興味の対象には入っていないのですから、売れる広告にならないのは当然なのです。


その製品が

  • 自分にとって良い、幸せな状態にしてくれる
  • 自分の痛みや不安を取り除いてくれる

のどちらかの解決策を、具体的に広告の中で示してくれると、クルッと振り向いて話を聞き始めます。この解決策こそが顧客の感じる便利さ(B)であり、売れる広告に欠かせない要素なのです。

顧客は便利さ(B)を感じて、それから「本当かな?」「どうやって実現するんだろう?」と気になって初めて、製品の特徴(F)や利点(A)、そして証拠(E)を広告の中でチェックするのです。最初から製品の特徴(F)や利点(A)ばかりを並べ立てても、どんなに客観的なデータを並べても売れる広告にはなりません。

広告に載せるメッセージを考えた時、特徴(F)・利点(A)・便利さ(B)のどのカテゴリーに入っているかを改めて考えて見ましょう。

  • それは本当に顧客の感じる便利さか?利点で終わってないか?
  • 利点を顧客の側から見るとどう思うだろうか?

と、チェックしてみてください。

メッセージが利点(A)で止まっていると、売れる広告にはなりません。

製品の利点(A)を活用することで、顧客が持っている何の問題が解決するかを考えて見ることが売れる広告を作成するヒントになります。

 


便利さを訴える顧客は誰か?

売れる広告を作るためには、顧客の立場で感じる便利さを訴えることが重要です。

顧客の感じる製品の便利さ(B)を考える上で、考えなくてはいけないのが「その製品の便利さを伝えるべき顧客は誰ですか?」という点です。

もちろん、現場で製品を使ってくれるユーザーに対して便利さ(B)を訴えていくことは欠かせません。そもそも現場のユーザーが「使いたい!」と思ってもらえるようなメッセージがなければ、売れる入り口にも立たないでしょう。

しかし、いかにユーザーに刺さるメッセージを作っても、購入を決裁する上司に理解してもらえなければ、意味がありません。

法人向けの取引では、製品の便利さを伝えるべき相手は3人いるのです。

  1. 使い手
  2. 買い手
  3. 売り手

の3人です。

1.使い手

「使い手」は、製品やサービスを実際に現場で使うエンジニア・担当者のことです。

ここで便利さを訴える上では、他社製品との比較が非常に有効です。

「今まで使っていた製品」「他社の製品」と比較して、「使う人にとって」どの程度良くなるかを考えるのです。

製品を初めて導入する場合は「当社の製品を使わなかった時と比較した便利さ」を示すと、顧客に刺さりやすく売れる広告になっていきます。特に、科学的なデータといった証拠(E)を便利さ(B)に合わせて説明できると、説得力が格段に増加した売れる広告になります。

2.買い手

買い手は、企業におけるエンジニアの上司や、調達・経理部門が該当します。

買い手にとっては

  • 設備のランニングコストはどのくらいか?
  • 製造原価はどの程度下がるか?
  • 業務環境は改善されるか?

などの具体的なコストメリットが興味の対象になります。

当然、使い手と買い手との間では、関心を寄せる項目が違ってきます。

使い手にとっての便利さだけでなく、買い手の立場に立った便利さも盛り込んでおかなくては、予選を勝ち抜いても本戦で敗れてしまうのです。

最終的に売れる広告となるには、買い手を意識した便利さの追求が必要になります。数字でどれだけコストメリットが示せるかが勝負になるのです。ここでも金銭的な見積もりといった数字データの証拠(E)は売れるためには必須の情報になってきます。

3.売り手

この3人目はちょっと意外かもしれません。

法人向けの営業では、営業担当の努力も欠かせません。

しかし、自社の営業担当や自社製品を扱う商社・代理店にも「製品を売る便利さ」を提示するべきなのです。

営業担当の立場では、

  • 説明しやすいカタログなどが充実している
  • マージンが多く取れる
  • 取引が簡潔に終わる

といった要素があるでしょう。

他2人(使い手・買い手)への便利さをしっかり言語化できていれば、売り手にとっては売れる広告が出来上がっており、セールストークがしやすくなります。


まとめ

  • 製品の良さは「製品の特徴(F)」「製品の利点(A)」と「顧客が感じる便利さ(B)」の3段階に分かれる。顧客には「便利さ(B)」を明確に伝える。
  • 製品の便利さ(B)を伝える顧客は「使う人」「買う人」「売る人」の3人。それぞれの着目点に応じた便利さ(B)を考える。コスト低減策など証拠(E)となる具体的な数字データあると効果が倍増する。
  • チラシで具体的な「便利さ(B)」を盛り込む。顧客は抽象的な「最先端の技術」といった言葉に最先端の気配を感じない。メリットがあることを具体的に訴える。

 

PAGE TOP