6つのステップ

「こだわりの技術」を『高収益商品』に転換する6つのステップ」


はじめに

ご存じでしょうか?

「企業の生産性を改善するには、顧客に信頼される製品・サービスを適正な価格で販売することが有効」という調査結果を。

生産性向上・ICT活用状況に関するアンケート調査結果 報告書 2017年3月2日 東京商工会議所 生産性向上委員会 資料p.14より筆者作図

同じ時間・同じ個数を販売するとき、販売単価が高いとマージンが多く取れますから、時間あたり売上高・時間あたり利益といった生産性は向上します。

政府が推進している働き方改革の中でも「労働生産性向上」が話題になっています。

 

そもそも、生産性を上げるためには、次の4つの方向性があります。

 

働き方改革の中では、長時間残業問題の解決も掲げています。

そのため、売上高をキープしながら労働時間を短縮する(2)の方向性が話題になることが多いでしょう。「残業を減らすために夜になったら照明を消す」「会議を短くする」などの対策案が話題になっています。

その一方で、働き方改革をテーマにした議論の中で「いかに売上を上げていくか?」「いかに販売単価を引き上げていくか?」という(1)(3)(4)の話は聞きません。

生産性の高い企業の多くが「顧客への信用力」を得るという外部に対する影響力を強化しているにもかかわらず、企業の考える生産性向上策はコスト削減策に偏っているというギャップが存在しているのです。


技術を活かす企業の進むべき道

本当は技術を磨きたいのに、日々の仕事が忙しくて手がつかず。

こだわりの技術がいつの間にか陳腐になってしまい、ますます薄利製品・サービスに頼ることになる・・・

これは、まさに生産性が下がり続ける負のスパイラルです。

こだわりの技術を持つ企業においては、新製品・新サービスの開発など技術への投資が不可欠です。独自の技術や製品・サービスの強みがないと、価格競争に巻き込まれてしまいますし、新製品開発を行うためにも利益を確保しておかなくてはなりません。

顧客からの信頼を獲得して高単価で販売し、ワクワクしながら技術開発に取り組む企業へと変わっていきましょう。

そのために欠かせないカギとなる要素が「顧客への価値の伝え方」なのです。

これは、単なる販売促進のテクニックではありません。

「顧客への価値」を経営の中心に据えて、営業や設備投資の考え方を見直していく出発点でもあります。


困りごと:お客様が買ってくれない

東京商工会議所の調査によると、生産性を向上させる上での外部のボトルネックは「消費者の購買力低下」が筆頭になっています。

生産性向上・ICT活用状況に関するアンケート調査結果 報告書 2017年3月2日 東京商工会議所 生産性向上委員会 資料p.17より筆者作図

多くの企業は「買ってくれない顧客」に悩んでいるのです。

とりわけ、電子部品や産業機械といった専門的な製品の場合、製品の特徴を理解するためには特殊で専門的な知識が必要です。カタログの内容をある程度理解できるのは、現場の限られた技術者だけかもしれません。

しかし、企業が高額な設備や製品を購入する場合、現場の判断で承認されるとは限りません。多くの場合、現場担当者は稟議書を提出して、決裁権限を持つ上司の承認を取り付ける必要があるのです。

そのため、最初の商談相手である現場担当者が「これは凄い!良い製品だ。絶対に欲しい!」と絶賛したとしても、決裁権限を持つ上司が同じ気持ちにならなければ購入には至りません。

ここで大切になってくるのが「顧客への価値の伝え方」なのです。

製品が持つ顧客への価値を、決裁権限を持つ上司に対してうまく伝えていく必要があるのです。

これを怠ってしまうと、顧客の上司は製品の品質(機能・性能)がよく理解できない以上、価格と納期といったわかりやすい指標で判断せざるを得ません。

  • 製品をリリースしたけれど、問い合わせが少ない
  • なかなか試用やデモをやらせてもらえない
  • 現場では気に入ってもらえたのに、購入に至らない

といった場合、顧客に本当の製品の価値が伝わっていないのです。


販売単価を引き上げる「顧客教育」

顧客企業の決裁者に製品の価値が伝わらないと、値段という一目瞭然で分かりやすい要素で買うか買わないかを判断されてしまいます。

そこで、顧客に価値を知ってもらうための顧客教育が必要になっていくわけです。

ここでの「顧客教育」とは、単に専門的知識を教えるセミナーを開催したり、ガイドブックを作ったりすることではありません。製品そのものの情報をいくら提供しても顧客には刺さりません。顧客の観点に立った上で、いかにして顧客のビジネスに役立つかという点を教育していく必要があるのです。

専門的な製品の例えとして、架空の「100万円の電動歯ブラシ」を想定してみましょう。

この100万円の電動歯ブラシの機能はこのようになっています。

  • ビッグデータと人工知能を活用した、最新歯磨きプログラム実装
  • 過酸化水素と同レベルの酸化能力をもつブラシ素材採用
  • ステンレス&カーボンファイバーの頑強な構成

最新のテクノロジーを盛り込み、非常に高機能っぽい印象を受けます。

さて、この製品のスペックを知ったとき、この電動歯ブラシを100万円で買うでしょうか?

・・・買わないですよね。

先端的・技術的な単語が出てきていますが、100万円を払うだけの価値はまだ感じられません。

もしこれがこのように提案されたらどうでしょう?

  • オート操作で磨けば100%虫歯にならない
  • 虫歯になったら治療費も完全保証
  • ホワイトニング機能も万全
  • メンテナンスフリーで一生使える

一生分の歯医者への通院費用を考えれば、100万円なら買うという人も出てくるかもしれません。

最初の機能説明では購入に踏み切る要素がありませんでした。

しかし、顧客に刺さるように価値を伝えれば、他の電動歯ブラシと比較されることもありません。「一生虫歯にならない」という価値と価格が見合うかだけを判断できるのです。

 

現実を振り返ってみると、多くの企業が価値ではなくて機能を一所懸命伝えようとしてもがいているのです。

製品のチラシやパンフレットを見返してみてください。搭載した機能を伝える文言にあふれていないでしょうか?

まずは自社の製品が顧客に提供する価値を伝える。

その後に、価値を生み出している機能を伝える。

この順番がとても大切です。

いきなり機能を説明し始めても、飽きて退散されてしまいます。

この製品によって、どんな困りごとを解決するのか?どんな状態にしてくれるのか?を具体的にしっかり説明する。

その後に、なぜその価値を提供できるのか、機能を説明する。

このようなステップで顧客を教育していくことが求められています。


「こだわりの技術」を『高収益商品』に転換する6つのステップ

6つのステップの全体イメージ図をこちらに用意しました。


1)価値を伝える「製品技術伝達力」を改善する

売れる広告の必須コンテンツをあぶり出す、FABE分析講座

製品が売れないのは技術が足りないからでも、機能が足りないからでもありません。

製品の良さの伝え方が間違っている場合がほとんどです。このステップでは製品の機能から顧客に刺さる提案メッセージに変換していくツールを学びます。

2)価格競争を脱して単価を引き上げ、「売上力」を伸ばす

高い技術と低い腰!専門製品の営業ノウハウ講座

製品の機能ばかりを伝えていた営業・販売促進を改め、製品が提供する価値を重視した顧客教育を行います。これによって「お金を払う価値がある」と思ってもらえれば、価格競争に陥ることなく、堂々と正規の値段で販売できます。

3)キャッシュ・在庫が滞留しないように「整流化」する

企業の生命線!資金繰り表の作り方と使い方講座

エクセルを使った資金繰り表の使い方を学び、経営の見える化の基礎を築きます。

4)ムダをなくしてコストを引き下げて「生産力」を高める

原価を低減して利益を増やす分析特集講座

「たくさん売れれば、たくさん儲かる」これは、一見とてもシンプルな法則のように見えます。しかし、ここには落とし穴があるのです。

それは「儲からない製品をたくさん売ったら大赤字」ということです。

製造原価の帳簿上は利益が出ているけれど、原価に計上されない手間暇(間接経費)が掛かっていると、受注量が増えた時に現場が破綻してしまいます。

ビジネスを続けていく上で、売った製品の代金を回収するまでにキャッシュが枯渇しないためのチェックをおこなった上で、きちんと利益が出ることを確認するためのコスト診断を実施します。

5)利益を技術に投資して、さらに技術を磨く

将来儲かるための種まき!技術を磨く設備投資講座

利益を出したら、将来の技術を磨くために使いたいところです。

機械設備のようなハードに投資をすべきか、IT技術や人材育成などソフトに投資をすべきか。そのような分配の意思決定を迫られることになります。

利益から技術に投資を行い、新たな利益を生むサイクルを作るために、技術への投資をチェックポイントに沿って判断していきます。

6)経営力向上

経営を改善して仕組み化する取り組み講座

1)〜5)の策はある意味、テコ入れすれば一時的には出来る様になります。

しかし、重要なのは継続して取り組み続ける仕組みです。

改善するのは容易だが、改善し続けることは困難。

一度良くしたものであっても、気がつくとそのやり方にこだわりすぎて柔軟性が失われていたりお客様のニーズと乖離したままになったりしては意味がありません。

こだわりの技術を生かした製品・サービスが利益を生み、利益を投資して新たな技術を生み、新たな技術が新たな製品・サービスを生む。

この正のスパイラルを回していくことが、製造業が取り組む最重要ポイントです。

 

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