モテない新製品チラシをモテるチラシに変えるには?オタク青年をも大変身させる分析術

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前回のコラムでは「技術者が作った新製品チラシ」と「オタク青年が合コンでやりがちな自己紹介トーク」に共通するポイントを考えてみました。

この2つに共通するポイントとは何だったでしょうか?

 

「相手を引きつけるにはスペックが足りないんじゃないか?」

「もっと高性能であることを伝えれば良かったのでは!?」

と思った方は・・・さらなる泥沼にハマる可能性が極めて高いです。

モテないチラシ&トークに欠けていたもの。

 

それは

 

「相手にとって具体的にどのようなメリットがあるかを訴えること」

 

でした。


基本的に他人は初対面のヒト・モノに対して関心など持っていません。動物には好奇心があるとはいっても、目に入るもの全てに関心を寄せていたらあっという間に疲れ果ててしまいます。自分に関係なさそうと判断したものであれば、関心を寄せることはないのです。

相手にとってのメリットを考える上で、漠然と考えていたのではいつまで経っても刺さるメッセージが出てきません。

そんな時に使えるツールがFABE(ファービー)分析と呼ばれる分析フレームワークです。

これは製品・サービスが持っている情報を

  • Feature(フィーチャー:製品の特徴)
  • Advantage(アドバンテージ:特徴から生まれる利点)
  • Benefit(ベネフィット:顧客が感じる便利さ)
  • Evidence(エビデンス:証拠となる裏付けデータ)

に分類して考えて行きます。

この4つの中で、チラシや紹介に使う上で最も大事な要素は何でしょうか?

 

ここまで読んで頂ければお分かりかと思います。

 

顧客が感じる便利さ(ベネフィット)ですね。

 

しかし、製品とにらめっこしていてもすぐには思いつかないので、段階を追って情報を整理していくのです。Evidence(エビデンス:証拠となる裏付けデータ)は説得力を持たせるためのデータですので、言語情報はF・A・Bの3段階で整理して行きます。


最初に製品・サービスの機能が持っている特徴(フィーチャー)を書き出します。カタログスペックに近い基本的な情報になりますので「S社製の最新タッチパネル採用」「新型駆動エンジン搭載」などが該当するでしょう。

 

次に特徴から生まれる利点(アドバンテージ)を考えます。他社の同様の製品と比べて優れているポイントは何か?を意識して、自社製品の凄いところを上げていくことになります。「従来機と比べて加工速度30%アップ」「消費電力10%カット」などが挙げられます。

 

この利点(アドバンテージ)とは、製品の良さを「提供者目線で」評価したものです。技術者が作ったチラシにはこれがダイレクトに掲載されることがほとんどです。確かに製品の良さを伝える情報ではあるのですが、問題は「提供者目線」となっている点です。これを満載させると、前回のコラムのようなチラシになってしまいます。

利点(アドバンテージ)は顧客目線で表現したものではないので、販売担当者のような「製品に関心を寄せている人」以外には微塵も刺さらないのです。


新製品広告がモテる広告になるための最後のステップが、「利点(アドバンテージ)」を「顧客が感じる便利さ(ベネフィット)」に変換することです。

 

この際、次の3つのポイントを考えると良いでしょう。

 

法人向けの生産財やサービスのベネフィットを考える場合、

Q:他の要因を変えることなく、どのくらい品質が改善するか?

C:いくら安く提供できるようになるか?

D:何時間早くできるようになるか?

QCDの観点でベネフィットを整理すると分かりやすくなります。

 

逆に、この観点が入っていないメッセージは、経済効果を重視する法人向けには刺さりにくいと考えた方が良いです。

高価格帯の製品でも「環境負荷が低く、地球に優しい製品です」と言われたら、個人向けであればライフスタイルによって買う人がいるはずです。

しかし、法人向けの場合は「地球に優しい」というメッセージだけで高い製品に切り替えることはありません。あくまでも「環境負荷の規制が強化され、今後はこの製品にしないと制裁金がかかる」などコストメリットに踏み込まないと受注することは苦しいでしょう。

製品の機能的良さである利点(アドバンテージ)が、顧客企業のQCDにどのような具体的メリットがあるか?数字で示せるか?が非常に重要です。

「このメッセージはベネフィットかな?まだアドバンテージかな?」と振り返り、ベネフィットに辿り着いたかどうかを確認しながら進めて行きましょう。


さて、ではオタク青年の自己紹介を改善するため、FABE分析を行ってみました。

Fについては自分の特徴をさらさらと書き出してみました。

Aについて、他のオタク仲間と比べても自分の方が優れていることが多いだろうと思われるポイントに絞っています。

最後にBについて考えてみますが、顧客を相手と考えた場合「自分と遊びに行くと、どんなメリットを提供できるか?」という観点を考えてみます。

  • より楽しく遊ぶことができるか?
  • より安く遊びに行くことができるか?
  • より短い時間で楽しむことができるか?

という3つの観点からベネフィットを分析するのです。

デートのQCDを改善する上で、自分の培ってきた趣味がどのように貢献するか?を考えて自己紹介に盛り込んでみると良いでしょう。

自慢のオタ趣味のストックの貢献度が低いと感じるかもしれません。ぜひ顧客インタビューを重ね、幅広くニーズを調査してみてください。

強みが生きるニッチマーケットもあるかもしれませんが、あくまでもベネフィットで押すことを忘れずに。

 

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